「大手牛丼チェーン店の中でどこが好き?」という質問に、迷いなく「すき家」と答える私だが、そんな信念(大げさ)を揺るがすほどの衝撃が2020年1月に訪れた。そう、SNSで爆発的に人気となった松屋の「シュクメルリ」の存在を知ってしまったからだ。ちなみに、何故すき家が一番好きかというと「とろ~り3種のチーズ牛丼」があるから。あと実はカレーがうまい。
あの味がずっと忘れられない
話をシュクメルリに戻そう。っていうか、そもそもシュクメルリって何?と思う人も多いかもしれない。かくいう私もその一人だった。公式HPの説明文を引用すると、『「にんにく」と「とろけるチーズ」の”ホワイトソース”で鶏もも肉を煮込んだ”ジョージア料理”』とある。初めて知った時に「なんだその組み合わせ……絶対うまいやつでは……?」と震えたのは記憶に新しい。ちなみに、ジョージアは北にロシア、東にアジア、西にヨーロッパ、南に中東という位置にある国らしい(これも公式HPより引用)。今一つピンとこなかったので、Googleマップで調べてみたらトルコの近くだった。
“世界一にんにくをおいしく食べるための料理”と言われているシュクメルリ
松屋で販売されたシュクメルリ鍋定食790円(ライス・生野菜・みそ汁付き)
しかも、このシュクメルリは限定店舗で販売したところ、なんと2万件超の声を受けて全国展開となった代物である。そんなすごい経緯があったとは知らなかったが、バズり具合を見る限り、相当な実力を持っているのは明らかだった。そして、意を決して数年ぶりに最寄り駅近くの松屋を訪れた私は、シュクメルリを食べてから人生が変わってしまったのである。にんにくがガツンと効いたシチューソースと濃厚チーズにゴロゴロチキン、そしてホクホクの甘いさつまいも……なんという罪の味。よくあるチキンのクリーム煮とは一線を画す、パンチ力。一瞬で松屋派に寝返ったのは言うまでもない。しかし、儚き期間限定メニューのシュクメルリはもう店舗で味わえない……。あの悪魔的なうまさをもう一度味わいたい……そんな私の元に神が現れた。そう、松屋がクックパッドでシュクメルリの公式レシピを発表したのである!
松屋が公式レシピを公開するのは史上初の試みとのこと。さすが、器の大きさが違う。
これなら松屋がない地域でもおうちで松屋の味が楽しめるはず!ちなみに、松屋がない県はなんと全国に9県もあり、我が故郷・東北では青森と秋田が含まれている。ちょっと悲しい……。でも大丈夫!なければ作ればいいのだ!よ~し、どうせ再現するなら本家を超える最強のシュクメルリを作っちゃうぞ!
驚くほど簡単に作ることができる
クックパッドの公式レシピに記載されている材料を見たが、どれも近くのスーパーで揃えられそうなものばかり。馴染みのない料理だから謎の食材や調味料が必要だったらどうしようかと思ったが、杞憂に終わってよかった。作り方もざっと見たが、要は材料を切って焼いて混ぜて煮るだけと超シンプル!ここからは材料と作り方について詳しく説明していく。
鶏肉はもも肉がなければムネ肉でもOK。調味料も大体の分量でなんとかなる。
【材料(2人分)】
- ・鶏もも肉:1枚(250~300g)
- ・塩コショウ:適量
- ・サラダ油:小さじ1
- ・にんにく(すりおろし):10gくらい(好きなだけ)
- ・無塩バター(有塩でもOK):15gくらい
- ・牛乳:200cc
- ・ホワイトシチューの素:1かけ(20gくらい)
- ・さつまいも:100~150gくらい
- ・レモン汁:少々
- ・醤油:数滴
- ・シュレッドチーズ:好きなだけ
- ・パセリ(乾燥でも生でも):少々
さつまいもを食べやすい大きさにカットし、水につけ、さっと洗う。
さつまいもの水を切って、軽くラップをしてレンジ(600W)で3分ほど加熱する。串を刺して柔らかくなったらOK!
鶏肉を一口大にカットし、塩コショウをまぶす。
スキレットまたはフライパンにサラダ油を入れ、中火で5分ほど鶏肉の皮面をよく焼く。
鶏肉の皮面がよく焼けたら裏返し、すりおろしにんにくを入れて香りを立たせる。
今回は日本を代表する最高品質の青森県田子町産にんにくを使用!1片が大きいホワイト六片という品種で、国内生産量の80%を占めているそう。白さと品質の良さが自慢らしい。たしかにこんな大ぶりで立派なにんにくはスーパーでなかなか見ない……これはおいしいシュクメルリができそう!「にんにくは好きなだけ入れましょう!」という公式の言葉(レシピ)を信じ、これでもか!というほどにんにくを投入!しばらくの間、外出自粛の身なので遠慮なんて全くない。
ちなみに、田子町のおいしいにんにくは「田子町ガーリックセンター公式ウェブサイト」で購入可能。にんにくだけでなく、にんにくを使った様々な商品もある。
牛乳200cc、バターを入れ、蓋をして5分ほど弱火でコトコト煮る。
一旦火を止め、さつまいもとシチューの素を入れて弱火で5分ほど煮込む。
レモン汁と醤油で味をととのえ、シュレッドチーズをかけてパセリをふったら完成!
自分の才能が恐ろしいという錯覚に陥る
完成した料理がコチラ。食べる前からすでに確信した本家越えのシュクメルリを是非とも見てほしい。
本家っぽく、ごはんとみそ汁、サラダもセットしていい感じ。
見よ、このチーズの伸び具合!テンションが上がる!
おうちで作る利点は、自分の都合に合わせて自由にできるところだと思う。にんにくとチーズは、とにかくありったけ入れた。カロリーが気になる?気にしたら負けだ、というかおいしいから0カロリーなので問題ない。食材の切り方もサイズも好きな感じでいいと思う。私は贅沢に食べたかったので、さつまいもも鶏肉も大ぶりサイズに切ったが、結果的に大成功だなと確信した。あと、調味料の量も厳密に量らずとも雰囲気でいい感じに仕上がる。さて、お待ちかねの実食!……うん、わかっていたがうまい!!!
チキンとさつまいもに、にんにくが効いたシチューとチーズが絡み、永遠に食べられる。
これは、最寄り駅近くの松屋で食べたシュクメルリを完全に超えてしまった。シュクメルリは最後に醤油で味をととのえたことにより、ごはんとの相性がよくなってバクバク食べられる!ああ、なんて罪深いものを生み出してしまったのか……感動とシュクメルリを噛みしめていた私だが、この後さらなる境地に辿り着く。
ごはんもいいけれどパンにも合う
シュクメルリを半分ほど食べてふと思った。「これ、パンと一緒に食べたらもっと最高なのでは?」善は急げ、すぐにパン(バゲット)とワインを準備!さて、バゲットをシュクメルリに浸して、ひとくち齧る。
バゲットと赤ワインという最強の布陣。どことなくオシャレなディナー感。
予想はしていたけれど、うん、最高!!!これは余裕でバゲット丸々一本食べられちゃう!そして、すかさずワインを流し込む。はぁ~至福のひと時とはまさにこのこと。今回用意したワインは、田子町の黒にんにくと赤ワインをブレンドした「クロシュ」だ。
クロシュも田子町産にんにくと同様に「田子町ガーリックセンター」で購入可能。クロシュの説明ページはボトルのデザインと同じく、オシャレな感じ。ワイン好きの人は、ページ内の「購入する」ボタンを押して商品購入ページへどうぞ。
フルーティーな味わいの赤ワインなんだけど、濃厚なシュクメルリによく合う!
「シチューにはごはんかパンか」、長年の論争に終止符が打たれたと感じた。どちらも合う、どちらも正義だったんだ。まさか、その事実をシチューではなくシュクメルリに気付かされるとは……まぁ最初から知ってはいたけれど。
おうちで松屋超えのシュクメルリを作ってみよう
新型コロナウイルスの影響で、外食を控えておうちごはんが増える日々。この機会に、SNSで話題沸騰になったシュクメルリをおうちで再現してみるのもいいかもしれない。簡単に作れるし、マンネリ化してきた献立のレパートリーに新たな風を巻き起こせるかも。ただし、尋常ではないにんにく臭からは逃れられないので、料理中は換気扇を必ずつけることと(筆者は途中で気が付いて大惨事になりかけた)、人に会う予定がある場合は要注意だ。